2021.07.08

外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要④:特定技能【動画有り】

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こんにちは。 

ケアネットワーク協同組合の元木です。

(↑注:昨日に引き続き本日も大阪は雨です)

現在、外国人介護職員を「フルタイム」で雇用できる制度としては、「EPA・介護」、「介護」、「技能実習」、「特定技能」の4つがあります。(1週間で28時間以内のパート勤務であれば「留学」もあります)

今週はそれぞれの制度の特徴を少し掘り下げて取りあげたいと思います。

 

4回目、最終日となる本日は『特定技能』にフォーカスします。


【特定技能とは】

深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野(介護を含む14業種)において、一定の専門性技能を有し、即戦力となる外国人を受入れていくことを目的に2019年4月1日に設けられた新しい在留資格です。「EPA・介護」や「技能実習」とは異なり、『労働力』として明確に位置付けられています。また、「特定技能1号(在留期間最長5年)」と「特定技能2号(在留期間の制限無し)」がありますが、介護分野に関しては「特定技能1号」のみです。


【候補者要件】

候補者が在留資格を取得する要件に関してはいくつかのパターンがあるので、候補者のバックグラウンド別に想定されるものを以下に列挙します。

. 海外現地からの候補者 ・日本在住の留学生・技能実習2号、3号(介護以外)からの移行の場合

日本語試験(2種)と技能試験に合格すること

 日本語試験1:「国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)」または「日本語能力試験(N4以上)」

 日本語試験2:「介護日本語評価試験」

 技能試験 :「介護技能評価試験」

  ※技能実習(介護以外)からの移行者は、上記の日本語試験1は免除

Ⅱ.技能実習2号、3号(介護)からの移行の場合

技能実習2号または3号の実習計画を満了した者は上記の日本語試験(2種)と技能試験は免除(技能実習1号の実習計画を満了した者は移行の対象外)

Ⅲ.EPA介護福祉士候補者からの移行の場合

4年間にわたりEPA介護福祉士候補者として 就労・研修に適切に従事した者は上記の日本語試験(2種)と技能試験は免除

ただし、特定技能ビザを取得する為には技能及び日本語能力が一定以上あることを証明(※1)しなければなりません。

(※1)具体的な証明方法: 直近の介護福祉士国家試験の結果通知書により「合格基準点の5割以上の得点であること」と「すべての試験科目で得点があること」を証明

Ⅳ.介護福祉士養成施設修了からの移行の場合

養成施設の修了者は上記の日本語試験(2種)と技能試験は免除

ただし、特定技能ビザを取得する為には技能及び日本語能力が一定以上あることを証明(※2)しなければなりません。

(※2)具体的な証明方法:介護福祉士養成施設の卒業証明書を提示

以上のように、「海外現地から直接渡航してくる」パターンだけでなく、「技能実習」や「EPA・介護」からの移行パターンなど他の制度との親和性も高いことが特徴です。


【マッチングと受入調整機関の支援】

特定技能制度の所轄官庁である出入国在留管理庁によるオンラインでの「特定技能総合支援サイト」が設けられていますが、「2021年3月までのマッチングイベントは終了いたしました。ご参加ありがとうございました。次回の開催をお待ちください。」の告知があり、2021年7月8日現在、開店休業状態です【追記:2021年11月よりマッチングイベントを再開しています】

特定技能ビザの要件を満たした外国人候補者は、事業所(特定技能所属機関)が募集する求人に直接応募したり、ハローワークによる求職のあっせんを受けて求職活動をすることも可能ですが、実際には職業紹介事業者や登録支援機関による求職のあっせんを受けて事業所を探すことが多くなると思われます。


【制度の枠組み】

候補者が在留資格を取得する要件を満たした場合、まず「求人に応募 or職業紹介事業者や登録支援機関からのあっせん」を受け「事業所(特定技能所属機関)と雇用契約を締結」し、「在留資格の認定または変更の申請」を行い「在留許可を取得」した後に「事業所(特定技能所属機関)での就労開始」となります。

勤務できるサービスの種類は、訪問系サービス以外になります。配置基準に含めることが可能になる期間は雇用してすぐに可能ですし、夜勤に関しても可能です。ただし「一定期間、他の日本人職員とチームでケアに当たる等、受入施設における順応をサポートし、ケアの安全性を確保するための体制をとることが必要」との注意が附されています、また技能実習中における家族の帯同は認められません。


【特定技能所属機関となるための要件】

事業所(特定技能所属機関)に関しては「技能実習」に附されていた「設立後3年経過している事が必要」といった条件はありません。ただし、

○労働、社会保険、租税関係法令を遵守していること

○1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

○5年以内に出入国・労働法令違反がないこと

の3つの条件を満たしている必要があり、

・雇用契約において、同一業務に従事する日本人等と同等以上の報酬であること

・報酬を預貯金口座への振り込み等で支払うこと

・一時帰国を希望した場合は、それを認めて休暇を取得させること

・帰国の際に、外国人が旅費を負担できなければ、特定技能所属機関が負担すること

「介護分野における特定技能協議会」への加入・参加すること

・「特定技能外国人支援計画」を策定し、支援を実行すること

が求められます。

受入れ機関のみで下記のような1号特定技能外国人支援の全部を実施することが困難である場合、同支援の全部の実施を登録支援機関に委託することが可能です。

登録支援機関を利用した場合の特定技能制度の相関関係は以下のようになります。


【最後に】

2019年4月と「EPA・介護」、「介護」、「技能実習」の他の三つの制度と比べても最も新しい制度である「特定技能」は、『労働力』として明確に位置付けられていることもあいまって、スタートに際しては本格的な外国人材の担う制度として多方面から大きな期待を持たれていました。が、諸外国現地の政府や送り出し機関側の様々な思惑などもあいまって調整がうまくいかず、開始直後は順調なスタートとはなりませんでした。加えて全世界的なコロナ禍の影響で渡航が制限された影響で、2021年3月末現在の特定技能1号在留外国人数は全14業種合計で22,567人、介護職種に限定すると1,705人にとどまっています。《参考:出入国在留管理庁 特定技能在留外国人数の公表(令和3年3月末)

しかしながら、スタートからの時間が経過して、諸外国現地の制度もほぼ完全に整いつつあります。コロナ禍が収まって海外からの渡航が再開すれば、技能実習と並んで大きく伸びる可能性が高いと思われます。


今回のblogの解説動画です(画像をクリックしてください)

外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要④:特定技能:blog解説


私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。

 よろしくお願いします。(M