2021.08.17

過去の送り出し国は、未来の受け入れ国に。将来は中国との外国人材の奪い合い?

こんにちは。 

ケアネットワーク協同組合の元木です。

(↑注:大阪は今日も雨が降り続けました)

 

本日は日本経済新聞の記事を引用して『過去の送り出し国は、未来の受け入れ国に。将来は中国との外国人材の奪い合い?』というテーマです。


【ちらつく中国の影】

2021年8月15日 日本経済新聞が『外国人材に日本がフラれる日 途上国GDP7000ドル転機』という記事を掲載しました。

記事リンク(※):https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE024960S1A800C2000000/

(※)有料記事扱いですが、無料会員登録をすれば読むことができます。

本文より一部を抜粋(『赤文字』)しながら、内容を紹介します。

冒頭から『国内産業の担い手として不可欠な外国人材の「日本離れ」が懸念されている。今は人気の移住先だが、アジア各国が順調に経済成長すれば日本で働く魅力は薄れる。人口減が迫る中国との人材争奪競争も予想される。移民受け入れを否定し、途上国支援名目で人材を受け入れる技能実習制度は人権面の批判も根強い。選ばれる国であり続けるには心もとない。』辛口のコメントで始まり、現在は外国人材の送出し国である中国が将来的には外国人材の受入れ国となって、日本との競争が激化すると予想しています。。


【国際移動転換理論】

外国人雇用に詳しい杉田昌平弁護士の『国際移動転換理論』の解説によると

経済成長と移民動向の関係は

①開発が進むにつれ国外への移民が増える

②さらに開発が進むと他の新興国への移住の魅力が薄れ、流出数が減少する

③先進国への移住も魅力が薄れ、国外から流入する移民の数が流出数を上回る

―というプロセスがあるといいます。


【『GDP7000ドル』の転機点】

また『20年の国際通貨基金(IMF)の報告書は、新興国への移民は1人当たり国内総生産(GDP)が2000ドルを超えると減り、先進国への移民は7000ドル程度で減り始める』と「GDP7000ドル」が送り出し国と受け入れ国の転機点になるとしている、『かつて実習生の最大の送り出し国だった中国は13年に7000ドルを突破。この年に中国人実習生は減少に転じ、20年末は約6万3千人とピークから4割以上減った』と、中国の変遷を紹介しています。そして、そんな中国に代わって、最大の送り出し国に躍り出たベトナムの現状については『20年に2785ドル。仮に過去10年の平均である年7%成長を維持すれば、30年代初めに7000ドルに達する。あと10年ほどで日本行きの希望者が減少する』と分析し、ベトナムも早晩、送り出し国の立場を降りる可能性があるとしています。そして、ベトナムに代わる候補国としては『ミャンマー、ネパールなど』を挙げていますが、『政情など不安要素も多い』と決定打にはなっていないと見ているようです。


【日本が『受け入れ国』として生き残るには】

記事の終盤では、再び、中国の動向に触れ、中国に関しては『15~64歳の生産年齢人口は13年をピークに減少が続き、工場などで労働力不足が目立ち始めた。国際移住機関(IOM)は20年の報告書で「移民の送り出し国から受け入れ国に移行しつつある」と指摘』し、中国との競争に際して、『賃金など待遇改善だけでなく「日本の労働市場は人権が守られている」との安心感を与えることは人材争奪戦の大前提だ』と締めています。


【最後に】

本blogでの最近の記事【米国務省 人身売買報告書 日本は2021年版でも“Tier2”のまま】、【日経新聞『(社説)技能実習は速やかに廃止を』から考える制度の今後のあり方】では、日本における外国人材に関して、外的にも内的にもネガティブなニュースを取り上げることが増えました。決して喜んでとりあげているわけではなく、外国人材に対する世間における評価や第三者的な視点を忘れたくないという思いからくるものなので、何卒、ご理解頂きたいと思います。


私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。

 よろしくお願いします。(M