2021.11.18

【速報】特定技能2号の分野が大幅に拡大、就労は事実上『無期限』に -ただし介護分野は…-

こんにちは。 

ケアネットワーク協同組合の元木です。

ここ最近は「入国再開」関連で「速報」連発で、お恥ずかしいのですが、今回も「速報」です。

【速報】特定技能2号の分野が大幅に拡大、就労は事実上『無期限』に -ただし介護分野は…-」というテーマです。

  
関連blog:外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要②:介護

外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要④:特定技能


【特定技能14分野のうち、13分野が2号に】

2021年11月17日18:00付で、日経新聞電子版が『外国⼈就労「無期限」に 熟練者対象、農業など全分野』という記事を掲載しました。

記事リンク(※):
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE019ZY0R00C21A9000000/
(※)有料記事扱いですが、無料会員登録をすれば全文を読むことができます。

以下、記事本文を抜粋(『赤文字』)しながら、内容を紹介します。
まず、『出入国在留管理庁が人手不足の深刻な業種14分野で定めている外国人の在留資格「特定技能」について、2022年度にも事実上、在留期限をなくす方向で調整していることが17日、入管関係者への取材で分かった。熟練した技能があれば在留資格を何度でも更新可能で、家族の帯同も認める。これまでの対象は建設など2分野だけだったが、農業・製造・サービスなど様々な業種に広げる。』と述べています。
特定技能における日本での在留期間は1号では最長で5年間で、1号のままではこの期間が終了すれば帰国以外の選択肢はありません。特定技能2号に移行すれば在留資格の更新申請を行うことで実質的に在留期間の制限は無くなりますが、現在では「建設業」と「造船・舶用業」の2分野しか認められていません。この2分野以外の11分野も技能実習2号への移行を認めるというのが今回の変更見直しです。


【2号に移行できないたった1つの分野は「介護」】

特定技能の14分野に関して、改めて確認しておきましょう。

1.介護業
2.ビルクリーニング業
3.素形材産業
4.産業機械製造業
5.電気・電子情報関連産業
6.建設業
7.造船・舶用業
8.自動車整備業
9.航空業
10.宿泊業
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業

上記のうち、「6.建設業」「7.造船・舶用業」の2つの分野は制度開始当初より特定技能2号への移行が認められていました。今回特定技能2号への移行がみとめられる11の分野は「2.ビルクリーニング業」、「3.素形材産業」、「4.産業機械製造業」、「5.電気・電子情報関連産業」、「8.自動車整備業」、「9.航空業」、「10.宿泊業」、「11.農業」、「12.漁業」、「13.飲食料品製造業」、「14.外食業」です。
もうあきらかですが、14分野中、唯一特定技能2号への移行が認められなかった分野が「1.介護業」です。

※日経新聞記事より転載


【なぜ介護は特定技能2号に移行できないのか】

「介護」が特定技能2号に移行できないのかという理由は、介護には他の13分野にはない「在留資格:介護」という別の長期就労制度が既にあるからだと、記事では説明されています。

参考blog:外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要②:介護

しかし、「ちょっと、待って!」と口をはさみたくなります。
国家資格である「介護福祉士」取得に際して、外国人受験生に対しては若干の優遇《ふりがな付き試験問題+筆記試験時間の延長(220分→330分:1.5倍)》はあるものの、合格へのハードルはとても高いと言わざるを得ず個人的には

《「在留資格:介護」の制度を廃止しても良いので、介護も特定技能2号移行の分野に加えて欲しい》

と思ってしまいます。


【果たしてスムーズに認められるのか?】

「特定技能2号」は、更新申請すれば、在留期限は事実上無期限になるだけでなく、家族の帯同も認められます(「在留資格:介護」も同様)。政府が正面から認めることはないかもしれませんが、事実上の「移民」といっても差し支えないでしょう。今回の日経の記事でも『ただ、自民党の保守派などの間では、外国人の長期就労や永住の拡大は「事実上の移民受け入れにつながりかねない」として慎重論が根強い。結論まで曲折を経る可能性もある。』と懸念する記述があります。生活環境が大きく変化する可能性もある制度変更を国会での議論を抜きで決定することへの異論も少なくありません。


【最後に】

2019年4月に“鳴り物入り”で導入された特定技能制度ですが、全世界的な新型コロナ禍の大きな影響を受けたとはいえ、当初見込んだようには活用されず、結果的には、わずか3年弱で制度見直しを迫られました。これは裏を返せば、「期限は五年、家族帯同は認めない」という特定技能1号の仕組みだけでは、外国人材に対する訴求力が低く、制度が維持できないと考えた結果のような気がします。
前段で述べたように、今回の制度改正が、政治的な思惑などでスムーズに認められるかどうかは不透明ですが、認められれば、技能実習制度の存続等にも影響を与えるだけでなく、日本の社会構造そのものが大きく変わるきっかけになるかもしれません。


私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。

 よろしくお願いします。(M