2021.06.25

改めて読み返す「介護職種の技能実習生の受入れに関するガイドライン」(前編)

こんにちは。 

ケアネットワーク協同組合の元木です。

(↑注:大阪は暑さが本格化してきました)

今回は『改めて読み返す「介護職種の技能実習生の受入れに関するガイドライン」(前編)』というテーマです。


【介護職種の技能実習生の受入れに関するガイドラインとは】

外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されたのは、平成29年11月1日ですが、介護職種の技能実習においては、介護サービスの特性に基づく様々な懸念に対応するため、介護固有要件を定めています。本blogでも過去記事における

人員配置基準における技能実習と特定技能の外国人材の取り扱い

外国人介護技能実習生の雇用形態と賃金

介護技能実習生の日本語能力と学習支援

等で、介護固有要件の内容に触れていますが、こうした介護職種の技能実習生を受け入れるに当たって留意すべき事項や実習実施者等が行うことが望ましい取組などをまとめて示したものが

介護職種の技能実習生の受入れに関するガイドライン

で、制度に追加されるのに先だち、平成29年9月29日付で策定されました。

 今回は「基本に返る」という気持ちで、改めてこのガイドラインの内容を読み返したいと思います。


【枚数にして4枚、項目は6つ】

「介護職種の技能実習生の受入れに関するガイドライン」自体は4ページ弱でさほどボリュームはありません。大きな項目は下記の6つです

1. 介護職種の技能実習生の受入れに関して留意すべき事項

2. 技能実習生の日本語能力に関して留意すべき事項

3. 入国後講習について留意すべき事項

4. 実習の実施について留意すべき事項

5. 同等処遇の担保に関して留意すべき点

6. その他

それぞれの項目で着目すべき部分を解説します。


【1. 介護職種の技能実習生の受入れに関して留意すべき事項】

本項目で注目すべきは

「介護職種の技能実習生の受入れにおいても、人材不足への対応を目的とするものではなく、技能実習制度の趣旨に沿って、人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力の推進を図ることを目的として実施する。」

という一文で、技能実習制度の人材不足への対応を目的としてはいけないと封じている点です。「結果的に人材不足が解消された」ということまでは咎(とが)められないのでしょうが、あからさまに労働力の調整弁のような利用の仕方はNGです


【2. 技能実習生の日本語能力に関して留意すべき事項】

介護という職種の特性上、日本語能力に関しては他の職種には無い高めのハードルが設定されていました。

実習実施者や監理団体は、1年目(入国時)は「N3」程度を望ましい水準として、技能実習生が2年目の業務への円滑な移行を図るために、より高い日本語能力を持って入国できるように努める。

厚生労働省としては制度への介護職種追加当初は、「N4」合格は当然のこととして、「N3」合格もしくはそれに近いレベルの日本語能力を持ったかたちで入国してくれることを想定していたことがうかがえます。ただ、この件は「ハードルが高すぎてクリアできない実習生が少なからず発生する」と多方面から危惧する声があがり、結果的に緩和されるかたちで現在は運用されています。


【3. 入国後講習について留意すべき事項】

本項目で改めて確認しておきたいのは入国後講習の本則は

「第1号技能実習の予定時間全体の1/6以上の時間をかけて入国後講習を行うこととされている」

ということであり、第1号技能実習の期間(12カ月)を鑑(かんが)みれば、本来は2カ月行わなければならないはずなのですが、附則として

(入国前講習を行った場合には、1/12以上)

という但し書きがあるために、海外現地で1カ月の入国前講習を受講してから入国し、日本では1カ月の講習を受講するというのが定番(常態化?)になっているということです。私の知る範囲では、海外現地での1カ月の講習を受講せずに、本則通り、日本で2カ月の入国後研修を受講している…といった事例を見聞きしたことがないのですが、広く調べたらそういう事例もどこかにあるのでしょうか😅


《長くなりますので、【4.~6.】に関しては次回(後編)に続きます》

 

私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。

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