外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要②:介護【動画有り】
こんにちは。
ケアネットワーク協同組合の元木です。
現在、外国人介護職員を「フルタイム」で雇用できる制度としては、「EPA・介護」、「介護」、「技能実習」、「特定技能」の4つがあります。(1週間で28時間以内のパート勤務であれば「留学」もあります)
今週はそれぞれの制度の特徴を少し掘り下げて取りあげたいと思います。
2回目となる本日は『介護』にフォーカスします。
【在留資格「介護」とは】
我が国における介護業界の人材不足解消のため、2017年9月1日より、正式な就労ビザとして認められた在留資格です。
①国家資格「介護福祉士」を取得 → ②日本の介護事業所と雇用契約を締結 → ③介護職(もしくは介護の指導職)として就労
すれば、取得可能なビザとなります。
就労のイメージとしては「日本人の介護職と同等の扱い」と考えて頂ければ良いかと思います。従事可能な介護サービスの制約はありません(訪問系サービスもOK)。家族の帯同(本人と同居し、かつ、その扶養者となる配偶者及び子について「特定活動」のビザ申請が可能)も認められます。配属されればすぐに配置基準に含めることが可能ですし、夜勤に関しても即可能です。
シンプルな制度なのですが、近年、「介護福祉士」資格の取得要件が大きく改正され、この猶予措置等もあって、その点に関しては少々複雑になっています。
【候補者要件】
下記で述べる「養成施設経由」の場合、「留学」ビザ取得をのぞけば、入国に際して候補者の求められる要件は特にありません。ただし、介護福祉士養成施設の入学条件として(施設にもよりますが)N2相当以上が望ましいとされる場合が多いようです。
【資格取得までの流れ:モデルケース】
資格取得の流れは複数あり、候補者の日本語能力等にもよってその期間も変わりますが、大きくは「養成施設経由」と「実務経験経由」の2つがあります。それぞれのモデルケースを想定してみます。
《養成施設経由》
外国人留学生として日本語学校入学(1年)→介護福祉士養成施設に入学(2年)→介護福祉士試験を受験し合格→介護福祉士資格取得(登録)→介護福祉士として業務に従事
《実務経験経由》
技能実習生として入国→介護施設等での就労・研修を続けつつ平行して「実務者研修」を受講して修了する(3年以上)→介護福祉士試験を受験し合格→介護福祉士資格取得(登録)→介護福祉士として業務に従事
もしくは
特定技能1号として入国→介護施設等での就労・研修を続けつつ平行して「実務者研修」を受講して修了する(3年以上)→介護福祉士試験を受験し合格→介護福祉士資格取得(登録)→介護福祉士として業務に従事
“養成校を卒業して介護福祉士試験が不合格だった場合の経過措置”
2017年4月1日から2027年3月31日までに介護福祉士養成施設を卒業した者については、介護福祉士試験に合格しなくても(不合格or受験しなかった者)、卒業年度の翌年度から5年間は『介護福祉士となる資格を有する者』とする経過措置が設けられており、5年間の有期限の介護福祉士として登録することが可能です。
参考:令和2年12月版 介護福祉士「新規登録の手引」<経過措置対象者用>(一部抜粋版)
【マッチングと受入調整機関の支援】
上記の《養成施設経由》の場合、EPAにおける国際厚生事業団(JICWELS)や技能実習における「監理団体」といったマッチングや調整をする公式な団体はなく、形式的には、介護事業所が独自に採用することになります。ただ、実際には、上記の流れにも登場する「日本語学校」や「介護福祉士養成施設」と連携を取るなかで、候補者の紹介や推薦を受ける流れがあり、最近では民間の人材派遣会社・紹介会社によるあっせんもあります。介護事業所としては候補者の日本語学校や養成施設での学習に関して金銭的なサポート(奨学金)や住居の提供を行う場合が多いです。
【最後に】
「介護」は「EPA・介護」、「技能実習」、「特定技能」と比較しても、就労に関しての制約は少なく、正式雇用後の事業所側の金銭的な負担も少ない制度です。ただ、《養成施設経由》の場合、現実問題として、事業所は雇用するまで最低でも3年間は候補者に対して学習や住居提供に関してサポートが必要になってきますし、サポートしても候補者の介護福祉士資格の取得が保障されるわけではありません。また候補者側にとっても、入国後最低でも3年間はフルタイムで働くことが不可能なため、他の3つの制度と比較すると、その期間の経済的なインセンティブがとても低くなります。総合的に考えると、事業所側と候補者側の双方にとって、選択肢として選びやすい制度とは言い難いようです。
今回のblogの解説動画です(画像をクリックしてください)
外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要②:在留資格 介護:blog解説
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