2021.07.07

外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要③:技能実習【動画有り】

こんにちは。 

ケアネットワーク協同組合の元木です。

(↑注:本日は七夕ですが、大阪は大雨です)

現在、外国人介護職員を「フルタイム」で雇用できる制度としては、「EPA・介護」、「介護」、「技能実習」、「特定技能」の4つがあります。(1週間で28時間以内のパート勤務であれば「留学」もあります)

今週はそれぞれの制度の特徴を少し掘り下げて取りあげたいと思います。

3回目となる本日は『技能実習』にフォーカスします。


【技能実習とは】

1960年代後半から続いていた「外国人研修制度」の流れを受けつつ1993年には、「学ぶ活動」である研修に加えて、「労働者として」実践的な技能・技術を修得するために導入された制度が「外国人技能実習制度」です。受入れ方式は二種類あり、受入れ機関の合弁企業・現地法人・一定の取引先企業等から企業単独で受入れる「企業単独型」と、事業協同組合や商工会議所等がそのメンバーである企業等と協力して行う「団体監理型」に分かれます。(割合としては「団体管理型」が大半です)実習可能な職種と作業は細かく分類されており、2017年11月1日の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の施行にあわせ、外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されました。国際協力という制度の趣旨・目的のため、技能実習法には基本理念として、技能実習は、

①技能等の適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わなければならないこと

②労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと

と定められています。


【候補者要件】

技能実習制度に「介護」が追加された際に、他の職種にはない様々な固有の要件が附されており、コミュニケーション能力と専門能力が求められることから実習生(候補者)にも「日本語能力要件」と「同等業務従事経験(いわゆる職歴要件)」が求められます。

「日本語能力要件」

日本語能力試験のN4に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者であること

「同等業務従事経験(いわゆる職歴要件)」

・外国における高齢者若しくは障害者の介護施設又は居宅等において、高齢者又は障害者の日常生活上の世話、機能訓練又は療養上の世話等に従事した経験を有する者

・外国における看護課程を修了した者又は看護師資格を有する者

・外国政府による介護士認定等を受けた者


【マッチングと受入調整機関の支援】

(ここでは二種類ある受入れ方式のうち「団体監理型」に関して説明します)

技能実習において、事業所(実習実施者)と実習生(候補者)を取り次ぐのが「監理団体」となります。具体的には、事業所側からの要望をヒアリングしたうえで、現地送り出し機関と調整・協力しつつ、各種書類の作成(求人票、実習計画、出入国申請etc.)や面接の調整などを行います。監理団体は、入国のお迎えから、入国後講習・事業所への送迎、実習期間中の巡回・監査、帰国時の手続まで実習全体を通じてトータルで関わってきます。ですので、事業所が技能実習を受け入れる場合には『監理団体選びがとても重要』になってきます。


【制度の枠組み】

技能実習の期間は

1号《1年間》→2号《2年間》→(一時帰国)→3号《2年間》

の3期に分かれます。入国(団体管理型の場合、在留資格は「技能実習1号ロ」)するとまず1カ月間の入国後講習(日本語や介護の基礎に関する研修)を受けます。《本則は実習開始前に1号実習期間の1/6(2カ月間)の研修受講が必要ですが、入国前に現地で1カ月の入国前研修を受講すれば1/12(1カ月間)に短縮可能なので、これが通例になっています》入国後講習が終われば、事業所に配属となり、現場での実習が始まります。入国後9ヶ月目を目処に職場で技能検定(初級)を受験し合格後に、2号への移行申請を行い、実習を継続します。《入国時に日本語能力検定N4相当の実習生は1号の期間内にN3相当の日本語検定試験も要受験》 2号では入国後30ヶ月目を目処に職場で技能検定(専門級)を受験して合格後に、3号への移行申請が可能となります。ただし、3号の移行には事業所(実習実施者)と監理団体の双方が外国人技能実習機構から優良認定を受けている必要があります。3号への移行申請を行い、2号の実習終了後に1カ月間以上の母国への一時帰国を経て、日本に再入国し3号としての技能実習を開始し、再入国後24ヶ月目を目処に職場で技能検定(上級)を受験し、合格すれば3号を優良に修了したことになります。

勤務できるサービスの種類は、訪問系サービス以外になります。配置基準に含めることが可能になる期間は日本語能力試験N2以上の場合は雇用してすぐに可能ですが、その他の場合は雇用して6か月経過後に可能となります。夜勤に関しては、技能実習生以外の介護職員を同時に配置することが求められるほか、業界ガイドラインにおいても技能実習生以外の介護職員と技能実習生の複数名で業務を行う等の条件付ではありますが、可能です。また技能実習中における家族の帯同は認められません。あと、受け入れ事業所に関しては経営が一定程度安定していることが求められるため、設立後3年経過している事が必要となります。


【最後に】

2017年11月に技能実習制度の職種に「介護」が追加されました。少し前にはなりますが、外国人技能実習機構の公式なデータによると2020年3月における年次の『職種別 技能実習計画認定件数』は8,967件(技能実習1号 7,363件、技能実習2号)でした。あくまで計画認定ベースなので実際に入国した人数とは異なりますが、既に8,000人を超える人数の外国人介護技能実習生が実際に日本の現場で就労しているとみて確実かと思います。今後のことはわかりませんが、今現在、外国人介護人材のメインストリームは「技能実習制度」です。


今回のblogの解説動画です(画像をクリックしてください)

外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要③:技能実習:blog解説


私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。

 よろしくお願いします。(M