【外国人技能実習生の失踪 実地検査は約20% 状況把握進まず】にみる問題点
こんにちは。
ケアネットワーク協同組合の元木です。
(↑注:先週の土曜日に近畿地方もようやく梅雨明けしました)
本日は『【外国人技能実習生の失踪 実地検査は約20% 状況把握進まず】にみる問題点』というテーマです。
【機構による失踪調査が進んでいない?】
2021年7月16日付の NHKニュースサイト に「外国人技能実習生の失踪 実地検査は約20% 状況把握進まず」という記事が掲載されました。【オリジナル版、Webアーカイブ版】
記事の内容は会計検査院が、「外国人技能実習機構」に対し、2019年9月までの半年間に全国で起きた外国人技能実習生の失踪3,639件を調べた結果、失踪が起きた受け入れ先の実地検査をせず、実習生が失踪に至った労働環境などの把握が進んでいないケースが755件と、約20%にのぼるとのことでした。また755件のうち、およそ73%に当たる557件については、実地調査はもちろん、受け入れ先から賃金台帳などの資料の入手もしていなかったということで、調査はほぼ手つかずのままであった模様です。会計検査院は、外国人技能実習機構に対し、失踪が発覚したら賃金台帳などの資料を速やかに入手するよう求めました。
【会計検査とは】
「会計検査院」という言葉はニュースではよく聞きますが、実際はどのような組織でどこを「検査(調査)」しているのでしょう。
私たちの税金や国債の発行によって国が集めたお金は、各府省などで国の仕事をするために使われます。国のお金ですから、適正に、また、ムダがないように、有効に使われなければなりません。会計検査院は、この国のお金が正しく、また、ムダなく有効に使われているかどうかをチェックする機関です。会計検査院は、このような重要な仕事を他から制約を受けることなく厳正に果たせるよう、国会、内閣、裁判所いずれの機関からも独立しています。
会計検査院が検査する対象は、国のすべての会計のほか、国が出資している政府関係機関、独立行政法人などの法人や、国が補助金、貸付金その他の財政援助を与えている都道府県、市町村、各種団体などです。《会計検査院:『会計検査院とは?』より》
上記にのっとり、国の認可法人である「外国人技能実習機構」が会計検査の対象となりました。
監理団体が外国人技能実習機構からの監査を受けるのと同様、機構も会計検査院の検査を受けるのでしょうね(受ける側の緊張感はまったく異なる次元なのかもしれませんが…😅)
【何が問題なのか】
技能実習生の失踪があとを絶たない背景の1つには、賃金や労働時間をめぐるトラブルがあるとされていますが、今回の調査から、「技能実習制度の元締め」ともいえる外国人技能実習機構本体が、労働環境や生活実態など、失踪に至った状況の把握が進んでいないケースがあることが浮き彫りになりました。これでは実習生失踪の実体が把握できず、その結果、分析・対策も追いつかないことになります。
今回、このような事態に至った理由を機構の担当者は「人員などが限られ、対応が追いつかないケースが出ている。指摘を真摯(しんし)に受け止め、適正な検査業務に努めたい」と回答しています。私たちは、これを失踪調査だけ、機構だけの問題ととらえて良いのでしょうか?
【最後に】
コロナ禍の影響でこの1年半くらい技能実習生の出入国は減ったとはいえ、ここ数年のスパンでみれば、技能実習生は急激に増えており、これに伴って監理団体や実習受入れ機関も急増しています。制度の利用増に伴い、外国人技能実習機構のマンパワーや案件処理能力が追いつかなくなっていることは容易に想像できます。これは失踪調査に限らず、広範囲に影響が出ているはずで、技能実習計画の新規・更新申請への指導や許認可にも影響を与えていると思われます。外国人技能実習機構にはぜひとも、実情に沿った組織の拡充、強化がおこなわれて欲しいと思います。
私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。
よろしくお願いします。(M)