2021.12.27

新たな処遇改善策の名称は「介護職員処遇改善支援補助金」 -一人月額9,000円アップは…-

こんにちは。 

ケアネットワーク協同組合の元木です。

先日のblog《介護職の賃金UPは月額9,000円から更なる引き上げ?実際は9,000円には…-》で取り上げた来年から施行される介護分野の新しい処遇改善に関する案が公表されたので、今回は『新たな処遇改善策の名称は「介護職員処遇改善支援補助金」 -やはり、一人月額9,000円アップは…-』というテーマです。

関連blog: 介護職の年収450万円時代の到来(?) -どうして今、介護職の処遇改善を進めるのか 


【正式名称は「介護職員処遇改善支援補助金」】

厚生労働省は2021年12月24日、来年から施行される介護分野の新しい処遇改善に関する施行案を公表しました。

【資料】介護職員処遇改善支援補助金について(報告)

上記の資料より内容等を抜き出してみます。

対象期間

令和4年2月~9月の賃金引上げ分(以降も、別途賃上げ効果が継続される取組みを行う)

補助金額

対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均9,000円の賃金引上げに相当する額。対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じて必要な交付率を設定し、各事業所の総報酬にその交付率を乗じた額を支給。

取得要件

処遇改善加算I~IIIのいずれかを取得している事業所(現行の処遇改善加算の対象サービス事業所)

上記かつ、令和4年2・3月(令和3年度中)から実際に賃上げを行っている事業所(事業所は、都道府県に賃上げを実施した旨の用紙を提出。メール等での提出も可能)

賃上げ効果の継続に資するよう、補助額の2/3以上は介護職員等のベースアップ等(※)の引上げに使用することを要件とする(4月分以降。基本給の引き上げに伴う賞与や超過勤務手当等の各種手当への影響を考慮しつつ、就業規則(賃金規程)改正に一定の時間を要することを考慮して令和4年 2・3月分は一時金による支給を可能とする。)

※ 「基本給」又は「決まって毎月支払われる手当」

対象となる職種

介護職員

事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める。


【懸念点】

    1. 補助金額は「各事業所の総報酬にその交付率を乗じた額」であるため、同じサービス区分で同じ規模の同じ稼働率の事業所でも、人員構成により、一人あたりの支給額は大きく異なります。(人員基準よりも手厚い人員を配置している事業所ほど、必然的に一人あたりの支給額は低くなります。)
    2. 令和4年2・3月(令和3年度中)から実際に賃上げ」を行う必要があるものの、事業所に対して賃上げの原資となる資金(報酬)が入金されるのは最短でも令和4年6月となり、タイムラグが発生します。
    3. 補助額の2/3以上は介護職員等のベースアップ等の引上げに使用すること」とされており、計画時には充当する金額がほぼ決定します。一方で、計画期間内において、利用者が減る等の理由で介護報酬が大きく下がった場合、事業所としては「持ち出し」になる可能性が非常に高くなります
    4. 事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができる」となっていますが、介護職員以外の多職種が関わる事業所においては「介護職員のみ」を対象に処遇改善をおこなえば、介護職員以外の職員は不満を感じるでしょうし、「介護職員以外の職員」も対象に処遇改善をおこなえば、介護職員は不満を感じるという、全職種が納得できる解決策がないというジレンマが発生します。

【最後に】

今回の施策により、介護職員の給与に関する処遇改善制度は「介護職員処遇改善加算」、「介護職員等特定処遇改善加算」と併せて『3段重ね』になります。今回の施策は来年9月までの時限制度で、来年10月からの介護報酬の改定に合わせて「加算」化される予定だそうですが、それを期に、事務方の負担軽減のためにもこれら3つの処遇改善制度の統合が望ましいと思います。


私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。

 よろしくお願いします。(M