2021.12.15

介護職の賃金UPは月額9,000円から更なる引き上げ?-実際は9,000円には…-

こんにちは。 

ケアネットワーク協同組合の元木です。

ずいぶんとblogの更新が滞ってしまい、申し訳ありませんでした💦💦💦

(※2021年12月15日の午前中現在、再入国に関する大きなニュース・情報はない模様です)

 

今回は切り口を変えて、外国人介護職に限定せず、介護職全般に関連した『介護職の賃金UPは月額9,000円から更なる引き上げ?-実際は9,000円には…-』というテーマです。

関連blog: 介護職の年収450万円時代の到来(?) -どうして今、介護職の処遇改善を進めるのか


【首相は月額9,000円にとどまらない意欲を表明】

今年の10月末におこなわれた総選挙において、与野党共に選挙公約に介護職員への処遇改善(賃金アップ)を公約に掲げていました選挙結果はご存知の通り、与党の勝利で終えましたが、選挙終了後1ヶ月を経て、こうした選挙公約を具体化する動きが出てきました。

介護のニュースサイト Jointは2021年12月14日付の記事で『介護職の賃上げ 岸田首相、追加策にも意欲 「取り組みを発展させたい」』と報じています。《オリジナル版アーカイブ版

記事を一部抜粋(『赤文字』)しながら、内容を紹介します。

まず12月13日に開かれた国会において『政府は補正予算案に計上した1000億円を使い、来年2月から介護職員の給与を月額9000円ほど引き上げる方針。岸田文雄首相はこの日の予算委員会で、その後の追加的な賃上げについても前向きな姿勢を示した。』とし、財源に関しては『まずは補正予算でスタートする。その後の更なる賃上げについても、安定財源を確保する道筋を含めてしっかりと議論していく』と一定期間限定の賃上げではなく、継続的な賃上げになるとの見方を示しています。また『(介護職員らの)処遇改善の取り組みを維持し、発展させていきたいと思っている』と、今回の月額9,000円の賃上げにとどまらず、更なる処遇改善に関しても期待させる発言もしています。


【実際には月額9,000円UPに満たない賃上げになる可能性が高い?】

将来的に更なる賃上げの希望も見える首相の発言ですが、今回の決定した賃上げに関しては「介護職は月額9,000円に満たない」可能性が高くなりそうです。上記と同じソースになりますが、介護のニュースサイト Jointは2021年12月14日付の記事で『介護職員の賃上げ、月額9000円に満たない人も 対象職種の拡大で効果薄まる』と報じています。《オリジナル版アーカイブ版

記事の冒頭で『来年2月から介護職員の給与を月額9000円ほど引き上げる − 。岸田政権が打ち出したこの方針だが、個々の賃上げ額は実際いくらになるのだろうか。期待通り月額9000円、年額10万8000円アップ、とはいかない人も少なからず出てくる見通しだ。』と述べています。理由としては介護施設における介護職以外の職種(ケアマネージャー、相談員、リハビリ等)に対しても交付金の一部を充当したいと希望する事業所が多く、政府も『事業所が交付金を多職種へ配分する柔軟な運用も認めていく考え』としているためです。こうしたことを勘案すると「介護職員一人あたり月額9,000円」の計算で支給される交付金の一部が多職種へ配分される事例が少なくないと思われ、そうした事業所においては結果的に「介護職員一人あたり」の金額は減ることになります。交付金を介護職員のみを対象に支給する事業所は別にして、交付金を多職種にも配分する事業所が少なくないと想定される現状では「介護職員一人あたり月額9,000円の賃上げ」を実現できる現場は限られているといわざるを得ません。


【計画が当初の目論見どおりに進まない実態はよくある】

ここで思い出されるのは、今回の処遇改善策に先んじること2019年10月に創設された「介護職員等特定処遇改善加算」です。介護人材活用のための取組をより一層進めるため、経験・技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を進めることを目的に、算定根拠として「勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行う」ことが掲げられました。『月額平均8万円』というインパクトのある具体的な金額が注目を集めましたが、制度の複雑な規則や制約、事業所によっと異なる職員の構成等により、フタを開けてみれば、勤続年数10年以上の介護福祉士であっても、月額平均8万円の昇給となった介護職員はかなり限られた人数でした。介護に限らず、制度の説明に際して、「算定根拠」にはわかりやすく具体的な金額や数値が求められるは確かなのでしょうが、実際の施行に際して現実との乖離があまりにも大きい事例が少なくないことは悩ましい問題です。


【最後に】

政府は10年以上前の「介護職員処遇改善交付金」(後に「介護職員処遇改善加算」に変更)をはじめ、上記の「介護職員等特定処遇改善加算」や今回の交付金等、介護職に対する度重なる処遇改善をおこなってきました。この事は肯定的に評価すべきでしょうが、今回の処遇改善加算を実施したとしてもまだ、介護職種が全産業の平均賃金には達しないことは確実です。上記の再掲となりますが岸田首相の『(介護職員らの)処遇改善の取り組みを維持し、発展させていきたいと思っている』という発言に沿った、次におこなわれるであろう処遇改善策においては、介護職種全体の賃金水準が全産業の平均賃金に肩を並べるくらいの大幅な計画であって欲しいと願っています。


私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。

 よろしくお願いします。(M