データから見る「技能実習制度」における失踪者の数と割合(介護業界ではどうなのか):アップデート版
こんにちは。
ケアネットワーク協同組合の元木です。
(↑2022年もよろしくお願いします)
こんにちは。
ケアネットワーク協同組合の元木です。
アクセス解析によると、約半年前に掲載した『データから見る「技能実習制度」における失踪者の数と割合(介護業界ではどうなのか)』というテーマが関心を集めているようですので、今回は新しいデータも加えた『データから見る「技能実習制度」における失踪者の数と割合(介護業界ではどうなのか):アップデート版』というテーマでお送りします。
関連記事:米国務省 人身売買報告書 日本は2021年版でも“Tier2”のまま
日経新聞『(社説)技能実習は速やかに廃止を』から考える制度の今後のあり方
【技能実習と失踪者数の推移】
前回のデータでは2019年末までのデータでしたが、2020年のデータも入手できたので、それを加えたのが下記のグラフです。
【コロナ禍で失踪者数が激減】
上記のグラフからもわかりますが、2019年と2020年とを比べると、「前年末の在留技能実習生と当年に新規入国した技能実習生の合計人数」である技能実習生数は
517,232人→494,798人と人数にして22,434人、率にして4.34%の減少
となっています。一方、失踪者数は
8,796人→5,885人と2,911人、率にして33.10%の減少
となっています。
2015年から2,019年までは毎年右肩上がりに技能実習生数は増加していましたが、2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、水際対策として、3月19日からの約8カ月間はほとんどの新規入国を断っていたこともあり、技能実習生数は減っています。
また失踪者数が激減している理由は、新型コロナウイルスの影響で日本国内の経済が停滞したため、リスクを冒してまで失踪しても、高給を得られる仕事が見つけにくくなったためと想像されます。
【介護職種における失踪者数の実数】
前回のブログで「介護職種では失踪者は出にくい」と言及しましたが、法務省のHPでその実数がわかる資料があったので、ご紹介します。
「職種別・技能実習生失踪者数」(PDF)
技能実習の対象職種に「介護」加えられたのが平成30年(2018年)からということで、資料も平成30年(2018年)から令和2年(2020年)までの3年間だけのデータですが
平成30年(2018年)
技能実習生全体の失踪者数:9,052名
上記の内介護職種の失踪者数:0名(記述無し)
失踪者全体に占める介護職種の割合:0%
令和元年(2019年)
技能実習生全体の失踪者数:8,796名
上記の内介護職種の失踪者数:3名
失踪者全体に占める介護職種の割合:0.034%
令和2年(2020年)
技能実習生全体の失踪者数:5,885名
上記の内介護職種の失踪者数:7名
失踪者全体に占める介護職種の割合:0.119%
以上のように、実際のデータにおいても介護職種は、失踪者の実数が少ないことがわかります。
【最後に】
令和3年(2021年)のデータは今後、もうしばらくすれば出てくるかと思いますが、個人的には
技能実習生数:大幅減少、失踪者数:やや減少
ではないかと予想します。
失踪者数が減ったことは喜ばしい反面、新たな実習生の入国が大きく制限されている現状が早く解消されないかと、切に願っております。
私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。
よろしくお願いします。(M)