2022.07.31

技能実習制度見直しに有識者会議を設置-制度見直しに向けた具体的な動き-

こんにちは。 

ケアネットワーク協同組合の元木です。

(久々の更新となり、申し訳ございません💦💦💦)

今回は「技能実習制度見直しに有識者会議を設置-制度見直しに向けた具体的動き-」というテーマです。

関連blog: 日経新聞『(社説)技能実習は速やかに廃止を』から考える制度の今後のあり方

批判集中の技能実習制度 しかし誤った報道も多くないか

技能実習だけでなく特定技能制度も見直しへ法務大臣が意気込みをみせる


【私的勉強会の段階を終えて有識者会議設置へ】

読売新聞オンラインは2022年7月29日 14時09分付の記事で『「目的と実態が乖離」技能実習制度見直しへ…失踪・暴行・いじめ相次ぎ』という記事を報じています。

一部抜粋(『赤文字』)しながら、内容を紹介します。

冒頭『古川法相は29日午前の閣議後記者会見で、技能実習制度の見直しに向けた論点を発表した。年内にも政府の関係閣僚会議の下に有識者会議を設置し、この論点をたたき台にした具体的な見直しの議論に着手する方針だ。』とし、有識者会議の設置を明言しました。ちなみに、古川法相は今年1月に「特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会」という名称で私的な勉強会発足させていましたが、その会における論点整理が終わったこともあって、今回は関係閣僚会議のもとに有識者会議を設け、検討実績を重ねながら前進させたカタチといえるでしょう。

上記の「特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会」がまとめた論点は今回の記事から引用すると以下のようになっています。

  • 国際貢献という制度の目的と、人手不足を補う労働力として扱う実態に隔たり
  • 実習生の日本語の能力が不足し、意志疎通が困難

  • 不当に高額な借金を負って来日する実習生の存在

  • 技能実習生の保護と、受け入れ先企業の監督を行う監理団体の相談・支援体制が不十分


【技能実習は規制を強める見直し、特定技能は制度を拡充する見直し】

上記記事において『古川氏は記者会見で、「国際貢献という目的と人手不足を補う労働力としての実態が乖離しているとの指摘があり、もっともだと受け止めている。着実に議論を深め、長年の課題を歴史的決着に導きたい」と述べた。』と並々ならぬ意欲を示しています。

一方、特定技能の見直しに関しては技能実習制度のそれとはかなりトーンが異なります。記事によると『政府は、外国人の単純労働を可能とするために2019年に導入された「特定技能制度」についても、見直しを開始する。在留期間が通算で上限5年の「1号」に対し、家族を帯同しての長期滞在が可能な「2号」資格は現在、「建設」と「造船・舶用工業」の2分野でのみ認められている。人材を更に呼び込むために、「2号」対象分野の拡大を検討する方向だ。』と、家族帯同が認められ、かつ、在留期間が申請次第では無期限となる2号対象分野の拡大に関して言及しています。この「2号対象分野に拡大」に関しては、少し前から報道されており、既報ではありますが、この段階で改めてアナウンスされていることは、確実に対象分野が拡大されるとみて良いでしょう。


【特定技能2号の対象分野拡大が今後の議論の呼び水に?】

技能実習の監理団体のスタッフとして、今後、技能実習制度がどのように見直されるのかということに大変関心を持っているのですが、実は今回のニュースでは、特定技能の見直し(2号対象分野の拡大)の方が今後は大きく注目されてくるのではないかと感じてもいます。

理由を以下に述べてみます。

少子化と高齢化が同時に(しかも急速に)進む日本の国を考えた場合、外国人労働者の受け入れを完全に止める訳にはいかないというよりも、今後どのように円滑かつ速やかに外国人労働者を受け入れていくのかということは、もっと活発に議論されても良いかと思うのですが、現実にはそのような盛り上がりはみられません。ただ、前章で触れた、特定技能2号の対象分野拡大が実際に運用されるようになって、日本全国において多くの外国人労働者が家族を伴って地域に定住するようになると、そこかしこで否応なく外国人との共生の場面が生まれることになり、外国人労働者の受け入れに関して、議論が巻き起こる可能性は大いにあります。いうなれば、今回の見直しに伴う特定技能2号の対象分野拡大が日本における外国人労働者受け入れ議論の高まりの呼び水となるのかもしれません。


【最後に】

今年3月、観光目的以外のビジネス・留学生向けに新規入国が再開され、4月に入って1日の入国者数上限を1万人に、6月には2万人に倍増拡大して、その結果、3カ月連続で入国者数は10万人超となっていますが、右肩上がりの増加には至っていません。

【参考:【図解】訪日外国人数、6月は12万人、訪日観光ツアー再開も停滞 -日本政府観光局(速報) :トラベルボイス より】

また日本における新型コロナウイルスの状況は現在 第七波の真っ只中にあり、全国の新規感染者数は20万人を超える日が続いてはいますが、幸いなことに、重症者数や病床逼迫率は第六波までと較べても低い水準にあることから、まん延防止等重点措置や新たな行動制限を課すような動きはなく、再び入国制限を課すような噂も今のところは聞こえてきません

どうにか、早くこの第七波が沈静化し、入国制限のような動きも起きないように願ってやみません


私たちケアネットワーク協同組合は「介護人材に育つ環境づくりのお手伝い」を合い言葉に、これからも組合員事業所様を最大限にバックアップして参ります。

 よろしくお願いします。(M